1: 2015-12-23 (水) 16:38:30 seria | 現: 2015-12-23 (水) 17:39:12 seriza | ||
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- | *概要 [#se428afd] | + | *CIPA CIP 概要 [#se428afd] |
- | 先天性無痛無汗症は、生まれつき痛みを感じる神経や発汗機能をコントロールする神経が発育せず、痛みや熱さ冷たさを感じない(感じにくい)、汗をかかないという病気です。そのために、怪我や火傷や骨折を繰り返したり、虫歯に気づかず悪化させたりして、体に障害を起こすことがあります。また、体温調節ができないために、気温の変化で高体温や低体温になり、時に命にかかわることもあります。 | + | 先天性無痛無汗症(Congenital Insensitivity to Pain with Anhidrosis:CIPA)は遺伝性感覚・自律神経ニューロパチー(HSAN)に属する疾患で、このうち4型を先天性無痛無汗症(Congenital Insensitivity to Pain:CIP)と呼んでいます。HSANの5型は無汗を伴わない先天性無痛症とされています。 |
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+ | 先天性無痛無汗症は、生まれつき痛みを感じる神経や発汗機能をコントロールする神経が発育せず、痛みや熱さ冷たさを感じない(感じにくい)、汗をかかないという病気です。 | ||
+ | そのために、怪我や火傷や骨折を繰り返したり、虫歯に気づかず悪化させたりして、体に障害を起こすことがあります。また、体温調節ができないために、気温の変化で高体温や低体温になり、時に命にかかわることもあります。 | ||
**症状 [#q713cffe] | **症状 [#q713cffe] | ||
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+ | 4型は、全身の温度や痛みの感覚が消失し、また発汗が低下します。また種々の程度の知的障害や発達障害を合併することがあります。 | ||
+ | 温度や痛みの感覚が消失するため、骨折・脱臼などの外傷、熱傷や凍傷を繰り返し、骨折がうまく治らなかったり脱臼を繰り返すことを通じて、シャルコー関節と呼ばれる関節変形に至ることもあります。 | ||
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+ | 発汗の低下は温度の感覚障害とも相まって体温のコントロールに影響を及ぼし、高体温からけいれん、脳症を引き起こすこともあります。また、環境温度が低い時は、低体温になることもあります。 | ||
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+ | 5型では発汗の低下がないため、高体温による問題や皮膚科の合併症は少ないようです。 | ||
**原因 [#e82ea864] | **原因 [#e82ea864] | ||
+ | -先天性無痛無汗症 (4型) | ||
+ | 原因は、NTRK1と呼ばれる遺伝子の一部が正常と異なることであることが分かっています。NTRK1は神経成長因子というものと関係しています。 | ||
+ | また4型では末梢神経の中の無髄線維と小径有髄線維が欠損して、痛みや発汗の低下を生じるとされています。 | ||
+ | 一部の患者さんで、NGFの異常が認められています。 | ||
+ | -先天性無痛症(5型) | ||
+ | NGFと呼ばれる遺伝子に異常を認められます。またSCN9Aという遺伝子の変化を示す患者さんもいると考えられています。 | ||
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**診療科 [#ia84c68b] | **診療科 [#ia84c68b] | ||
- | **検査 [#gac5f02e] | + | **検査 [#ae35dc06] |
+ | ***組織学的検査 [#af68b3f9] | ||
+ | -皮膚生検 | ||
+ | 表皮におけるエクリン汗腺神経支配と小神経線維の欠損 | ||
+ | -腓腹神経生検 | ||
+ | 大径神経線維の数は正常であるが、有髄小径線維と無髄小径線維の数は減少している | ||
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+ | ***分子遺伝学的検査 [#h44665f5] | ||
+ | 遺伝子 NTRK1 (TRKA)は、HSAN IVとの関連性が知られている唯一の遺伝子であり[Indo et al 1996]、正確に分類された全てのHSAN IV症例に共通している。 | ||
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+ | ***臨床的検査 [#j394fbee] | ||
+ | -遺伝子配列の解析 | ||
+ | NTRK1のコーディング領域および隣接するイントロン領域の配列を決定することにより、疾患を引き起こす変異の90%以上を検出することが可能である。 | ||
**診断 [#x01d8506] | **診断 [#x01d8506] | ||
+ | -痛覚と温度覚に影響を及ぼす重篤な感覚消失 | ||
+ | --疼痛刺激 | ||
+ | 針による刺激 | ||
+ | アキレス腱、睾丸、茎状突起・乳様突起、上眼窩縁への強い圧力に対する反応の欠如 | ||
+ | --高温と低温に対する知覚の低下 | ||
+ | 温度覚に関する標準化された検査法を用いた定量評価、または熱傷に気付かなかったという病歴 | ||
+ | |||
+ | -リン酸ヒスタミンの皮内注射後における軸索紅斑反応の欠如 | ||
+ | 通常、0.1 mLのリン酸ヒスタミン溶液(1/10000希釈溶液または濃度0.275 mg/mLのリン酸ヒスタミン溶液)を皮内注射すると、初期局所領域に紅斑が出現し、さらに3~5分以内には、辺縁不整の広範な紅斑に囲まれた膨疹が中心部に認められる。HSANの場合、膨疹周囲の辺縁は鮮明である。 | ||
+ | --ヒスタミン試験のみを実施しても、各種のHSAN型を識別することはできない。 | ||
+ | |||
+ | -発汗消失 | ||
+ | 発汗を調節する節後交感神経コリン作動性経路の異常は、以下の試験で同定することが可能である: | ||
+ | --定量的軸索反射性発汗試験(QSART) | ||
+ | 一定の陽極電流(2 mA)を用いて皮膚を介してイオン導入されたアセチルコリン(Ach)が、エクリン汗腺による発汗を惹起し、節後交感神経発汗刺激性軸索を活性化する。軸索反射仲介による発汗反応は、湿度計と分泌型の汗腺細胞の検出によって定量される。 | ||
+ | --交感神経性皮膚反応(SSR) | ||
+ | 汗腺および隣接する表皮組織の一時的な電気活動 によるSSRは、交感神経汗腺運動線維、すなわち節前B神経線維と節後無髄C神経線維の興奮および連続放電を惹起する刺激によって誘発される。このような刺激として、電気刺激、聴覚刺激、吸気性の息切れが挙げられる。通常、SSRは手背と足背から同時に記録される。 | ||
+ | |||
**病期 ステージ [#h767ab33] | **病期 ステージ [#h767ab33] | ||
**合併症 [#b15cd28f] | **合併症 [#b15cd28f] | ||
+ | 先天性無痛無汗症型では全身の発汗が低下し、種々の程度の知的障害や発達障害を合併することがあります。 | ||
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+ | 自傷行為の合併も多く、特に指先、舌や口唇を噛むことが問題になります。これら以外に、皮膚科では乾燥肌や蜂窩織炎と呼ばれる感染症の合併、眼科では角膜の障害を合併することがあります。これらの他、てんかんの合併や、便秘、周期性嘔吐症や起立性低血圧などの自律神経症状の合併が知られています。 | ||
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**薬 [#v76d838d] | **薬 [#v76d838d] | ||
-(一般名:) | -(一般名:) | ||
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**治療法 [#m60de680] | **治療法 [#m60de680] | ||
+ | この病気を完治する治療法は現在ありません。 | ||
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+ | 原因となる遺伝子の変化は分かってきましたが、遺伝子治療は行われていません。 | ||
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+ | 起きてしまった症状に対する対症療法と、外傷や体温異常を予防するための日常生活上でのケアが重要です。外傷の予防に装具や環境の整備、口唇や舌の損傷に対しては保護プレートが有効です。 | ||
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+ | 乾燥肌に対しては、保湿クリームが用いられます。また体温のコントロールが大事で、環境整備のほか、高体温を防ぐためのウエアも工夫されています。 |
- 先天性無痛無汗症 のバックアップ一覧
- 先天性無痛無汗症 のバックアップ差分(No. All)
- 1: 2015-12-23 (水) 16:38:30 seria
- 現: 2015-12-23 (水) 17:39:12 seriza
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